シリコンバッグ入れ替え
豊胸手術後、入れたバッグが被膜拘縮を起こし硬くなった、バッグが破れて左右差がある、バッグの位置が移動して形が不自然になったなどの場合、豊胸手術失敗?ということで、来院していただく場合があります。このような場合、入れた人工乳房を除去して新たなバッグを入れる手術を行います。豊胸術に使用されるバッグは、シリコンバッグ、CMCバッグや生理食塩水バッグがありますが現在ではシリコンバッグが主流になってきています。入れたバッグの種類により取り出しやすい場合と、取り出しにくい場合があること、再度挿入する場合は、入れるスペースを広げる必要がある事から、初回の豊胸術に比較すると手術の難易度が高くなります。
やせ形で胸が平坦な場合、乳腺下にバッグを入れると、豊胸手術後浮き出て硬く触れることが多いために、乳腺下の挿入は避ける方が良いと思われます。しかし、乳腺下のバッグ挿入は、十分な麻酔設備が無くても可能であることや、技術的に簡単であることから、一部のクリニックで、胸が平坦でやせ形の人に対しても行われているようです。
シリコンバッグ入替え手術
バッグ入替え手術では、前医で入れたバッグを取り出した後に、新たにスペースと作る、またはスペースを広げて再度新しいバッグを挿入します。
前回入れたバッグを取り出すルートは、脇の下、乳輪外縁、乳房下縁、側頬部などがありますが、仙台中央クリニックでは、脇の下を切開して人工乳腺を摘出します。非常にバッグが取り出しにくい場合は乳房下縁または乳輪に切開を加えバッグを取り出す場合もあります。ただし、乳房下縁または乳輪を切開する場合はごく少数です。技術的には腋窩切開による取り出しは難しく、乳房下縁切開、乳輪切開の方が簡単ですが、バストの形を維持するためには、腋窩切開がお勧めです。
人工乳腺バッグが硬く皮下に触れる、形が不自然である、バッグを入れていることがバレバレの胸の形であると言われ入れ替えを希望する方のほとんどは、バッグを大胸筋下ではなく乳腺下に挿入した場合です。同時に人工乳腺バッグの再挿入を希望される場合には、大胸筋下にバッグ挿入のスペースを作り、再挿入することになります。大胸筋下に入れてあったバッグを除去して再度大胸筋下に入れる場合には、バッグの外側に形成された被膜を切離して、人工乳房の入るスペースを広げる必要がありますので、手術はさらに難易度が高くなります。
モニター写真
43歳 既婚。豊胸バッグ入れ替え手術
出産授乳後バストが縮んで垂れてしまったので、10年前に豊胸手術をしてもらいました。しかし徐々に縮んで形がおかしくなって不自然な胸になってしまったので、修正再手術を希望して受診しました。右に比べて左が小さくなっており、バッグが上に上がって位置が変わっていると教えてもらいました。どうしても治したかったのでバッグ入れ替え手術をお願いしました。手術後は多少腫れましたが、徐々に改善して自然な感じに落ち着いたので良かったです。
クリニックより:以前の豊胸バッグは耐久性という点で劣り、劣化したり破裂したりすることが多いようです。大きな事故にあったというわけではないのに破裂したりするケースが認められます。そのような場合一度バッグを取り出して、入れ直しの手術をする必要があります。入替手術の難易度はかなり高いために手術を引き受けてくれる先生は少なく県外から受診される方もいらっしゃいます。シリコンバッグの入るスペースを再形成して、新たなシリコンバッグを入れることにより自然な胸を作ることができます。
写真の下段には取り出したバッグを示しました。左右のバッグとも内容物が分離していました。左のバッグは破裂しており小孔から内容物が漏れてバッグが縮小していました。現在のバッグは耐久性が良くなり破裂することはまずありませんが、昔に入れたバッグは破裂症例にちょくちょく出会います。思い当たる症状のある方はベテラン美容外科医の相談してください。
45歳 既婚。他院人工乳腺バッグ挿入後、バッグ入れ替え手術、他院乳輪縮小手術
元々バストが大きかったのですが、出産授乳後、バストのボリュームが無くなり、他院で人工乳腺による豊胸術をしました。乳腺下のスペースに入れたためか、触るとバッグが分かりました。鏡に映してみたりしましたが外見上は、バッグが入っていることは分からないのですが、触ると特に左の胸が硬くゴリゴリしてとても気になるので再手術をしてもらおうと希望しました。左の胸の状態がひどかったので治るかどうか心配でした。取り出したバッグの変形している様子を見て、新しいバッグに入れ替えてもらい本当によかったと思います。入替え後はバストの上方のボリュームも増えてふっくらした胸になりました。
クリニックより:バストが大きくやや下垂している方の乳腺下に人工乳房を入れるということは良く行われる方法なのですが、被膜拘縮により取り出したいという方に御来院いただくことがあります。この症例のように一見してバッグが入っていることが分からない場合でも触ってみると明らかに硬く不自然な場合があります。美容外科的には見た目を変えるということが第一目標であり、触った感じを変えるということは難易度の高い豊胸手術になります。胸のゴリゴリ感が無くなり、バストの形も良くなり喜んでもらえたようです。
前医で入れた右のバッグは厚い被膜に囲まれていましたが、被膜を切開することにより取り出すことが出来ました。左のバッグは非常に厚い被膜に囲まれバッグ自体が変形していたために、被膜ごと取り出すことになりました。サイズが縮小し石のように固くなっていました。御本人にも見せて、バッグ除去成功を喜んでもらいました。